兄よあなたは何故、生まれてきたのか
プロフィール: K.Eさん、50代男性、会社員
私の兄、生きていれば現在55歳になるでしょう。
あの当時はサイコパスなどという言葉はなく、もちろん心の病、うつ病という言葉さえ聞きなれない時代でした。
兄は幼少の頃から、壁の一点を見つめ、「誰かの目があそこから自分を見てる」など奇妙な事を言っていました。
性格は優しくて穏やか、学校の成績も優秀で両親の自慢の子供だったと思います。
私が小学6年生の頃、兄は中学2年生
ある日、サッカーをしようと、兄に誘われ、広場でボールを蹴って遊んでいました。
初めは楽しく笑いながら蹴り合っていたのですが、だんだんと兄の目つきが変わり、ボールを蹴る力が強くなってきました。私は蹴り返せなくなり、ボールが体に当たり、何度も「痛い」と言いましたが、兄は私の声など聞こえない様子で、目は怖いのですが、口はうっすらと笑っているようでなんとも、不気味な表情だった事を今でもはっきりと覚えております。
それから、私は兄とは遊ばなくなりました。
兄が犬を飼いたいと、両親にお願いした時期がありました。
兄を溺愛していた両親は、兄の気に入る犬を探すために、週末に犬探しに出かけていました。
今のようなペットショップなどあまり無い時代、捨て犬か犬のブリーダーの所へ出向き買うという感じでした。かなり遠方まで行っていたようです。
半年ほどして、可愛い子犬が我が家にやってきました。兄が「サミー」と名前をつけ可愛がっていましたが、ある日学校から帰ると、サミーがバスタオルに包まれていました。
兄は泣いていました。「どうしたの?」と聞くとサミーがおしっこシートをちぎって遊んでいたみたいで、喉にシートを詰まらせて死んでしまった、といいました。
私は体が震えました。動物とはいえ、死体が家のリビングにあるのです。
すぐに母に電話をしました、母は急いで帰るからそのままにしておきなさい、と言いました。
私はようやく少し落ち着き、サミーの顔を見ようと思い、タオルを少しずらそうとした時、兄が「触るな!」と大声を出したのです。私は再び怖くなり自分の部屋へ行きました。
その時、私は見たのです、サミーの首に兄のベルトが巻き付き食い込んでいたのを・・・
その日を境に兄は、おかしくなりました。
世の中の全ての人が敵のような事を言ったり、道ですれ違った女性を殴って逃げたり。
両親に暴力をふるうようになったのも、この頃からです。
漬物石を持って、母を追いかけ回していた時もあり、私と母は避難のため、しばらくホテル暮らしをしました。
兄は有名私立高校に入学し、外では真面目で好青年でしたが家庭は崩壊していました。
両親は地元でも有名な資産家でしたので、世間の目や見栄もあり、兄の奇行はひたすら隠していたのです。
兄が高校を卒業する頃には、外への攻撃が自身の攻撃に変わり、食べ物を一切、口にしなくなりました。
二階から飛び降りて足を骨折したり、自分の爪を剥いだり。
苦しい、自分が怖い、この衝動は何なんだ・・・などと書いたノートを見つけた事があります。
高校卒業後、東京の有名大学に進学が決まり、母は兄からやっと解放されると思い嬉々として、上京の準備をしていましたが上京する2日前に、兄が居なくなりました。
それから1か月後のよく晴れた日の早朝、兄は自宅から1時間ほど離れた雑木林の中で首を吊って死んでいるのが発見されました。
兄は遺書を書いていました。
生きたい、でも生きていたらきっと人を殺すだろう。
だから自分を殺すしかない
誰も兄を救う事は出来ませんでした。
私はたまに、兄が命を絶った雑木林に行きます。
そしてこう思います。
もし今、兄が生きていたら、平凡で幸せな家庭を築いていたでしょうか?
それとも猟奇的な殺人者として暗闇の中で息をひそめながら生きているでしょうか?
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